若き日の思い出・誰もが撮れる奇跡の1枚
以前は、プロのモデルやタレントの宣材写真を撮影していたが、最近は一般の子を撮る機会が多い。
もちろん、プロではないので、スマホで撮影するのと違い、でっかいカメラを向けられた途端、身構えて顔がこわばってしまうわけだ。
その気持ちは分からないでもないが、表情が硬ければどんなに枚数を撮っても、コレという奇跡の1枚は生まれないのである。
本人はカッコつけているつもりでも、自分でいいと思っている表情が他人からウケるとは限らない。切ない話である。
過去を遡る。
私は17歳の時に、ウイントというモデル事務所に所属した。
10代の子たちが原宿のとある場所に集まり、筋トレ合宿のような拷問が2日続く。
背中の余計な肉を落とせ、姿勢を正せ、ウォーキングの手順を覚えろ。
まだ高校生の私には、そんなことを言われてもすぐにできるか!と反発心があったものの、周囲は自分より背が圧倒的に高い女の子ばかりで、とにかくがむしゃらに頑張らなければ生き残れないと必死になったものだ。
35歳ぐらいの頃に、SOSモデルエージェンシーに所属したが、ここでも圧倒的に背が足りないと酷評を食らったのを覚えている。
最近のモデル事情は詳しくないが、ショーで歩くモデルというのは、裏では本当にもがき苦しんで血の滲む努力をしているものだ。
自己研鑽という言葉は、どこの世界にいても必要なもの。
過去の経験を思い返し、撮影する側になっても、撮影される側の身構えてしまう衝動やどうしたらいいのか分からないという不安も理解できているつもりだ。
私が最初に所属していた事務所でのいくつか得た仕事があった。
今も動画配信サイトで観ることができるが、ジャニタレが主演の清涼飲料水CM。
老舗ファッション雑誌・Seventeen。
はっきりと覚えているのはこのぐらい。
その数年後、私は成人式を迎えるにあたり、前撮りをするため、あるスタジオへ訪れた。
単なる成人式の記念として行ったはずが、ここで出会ったヘアメイクさんと私は長い付き合いを続けることになるとは予想もしていなかったこと。10年ぐらいは年賀状のやり取りをしていたと思う。
ヘアメイクは、樋沼弥生さん。
「メイクされるの慣れているよね?」と言われ、こういう仕事をしているんですと説明したら、作品撮りを手伝って欲しいという話になった。
お互いに若く、これから自分のヘアメイク技術を売って頑張っていこうという段階だったのだろう。
そして、新宿で一緒に当日の服を選びに行き、後日表参道で待ち合わせて撮影をした。
作品撮りをしたいという気持ちは、Portfolioをもっと保管しておけばよかったと思う私には、今痛いほどよく分かる。
ここ数年はお互いに忙しくなり、連絡を取っていないけれど、ネットで活躍ぶりを見ると、本当に大きく飛躍されたのだなと驚く。(名前で検索するとすぐ出てくるよ)
すっかり売れっ子ヘアメイクさんになっておられる。
あの時、私と撮影に挑んだ作品が少しでも役に立てただろうか、そんな気持ちも沸きつつ。
当時撮影した紙焼きは、今でも私の宝として保管してある。
経年劣化でだんだんと色褪せてきているが、折り目もつけずにきちんと保管したまま。
懐かしいなと思いながら取り出した1枚をご紹介しよう。
20歳そこそこだった頃の私だ。
まさに奇跡の1枚。
オチはないけれど、その時の撮影してもらったものを掲載しておこう。
すごく若い……。
褒めて欲しいわけではなく、誰もが皆んな、気持ち1つで奇跡の1枚を撮ることはできるんだよってことを伝えたかっただけ。
以上。
0コメント